残ってしまった有給休暇や退職金は退職代行サービスを利用しても貰える?
目次
- 「退職したい旨を言い出しにくい」
- 「会社から精神的・肉体的苦痛を受けもう出社せずに辞めたい」
そんな人たちの代わりに会社へ退職の意思を伝えたり、手続きを行ってくれる退職代行サービス。
退職希望者にとって一番エネルギーを使う会社とのやり取りを業者が担うことで利用者の負担を減らし、スムーズに会社を辞められるということで近年注目されているサービスです。
さて、いざ会社を辞めると決めた際に気になるのが、残ってしまっている有給休暇や退職金の存在。
「ただでさえ退職で迷惑をかけてしまうのに…」「図々しいと思われるのでは…」と言い出しにくさから自分から会社に確認できず、貰えないままになってしまうことも多い2点です。
退職代行サービスを使って会社を辞めた場合でも有給休暇消化や退職金の支給は受けることができるのでしょうか?
また、その取得について退職代行サービスが会社へ申し出や伝言を行って、無事勝ち取れるのか。
今回はそんな気になる退職代行サービスと「有給休暇」や「退職金」との関係について解説いたします。
有給休暇取得や退職金支給はどんな決まりで定められている?
有給休暇は労働基準法上、取得する義務がある!
「年次有給休暇」とは、賃金が支払われる休暇のことで、雇入れの日から6ヶ月経過した者に10日間付与、その後は1年ごとに決まった日数を付与されます。
今まで日本では「迷惑だと思われるのでは」「どのタイミングで使っていいかわからない」と、有給休暇を使いづらい空気があり取得率が低い傾向にありました。
しかし労働基準法の改正で2019年4月より年5日の年次有給休暇の確実な取得が義務化されたことも相まって、労働者の持つ権利として有給休暇を取得するのは当たり前であるという風潮が強まっています。
退職金の支給については会社の就業規則に準ずる
退職金はその名の通り退職時に会社から支給されるお金のこと。
こちらは有給休暇のように労働基準法に規定がなく、支給については会社の就業規則に記載されています。
自分が会社を辞めた際に退職金が支払われるか、またその金額がどのくらいなのかについては、各会社の就業規則を確認する必要があります。
退職金支給の条件を満たしているのであれば、会社に支払いを申し出ることは当然の権利です。
退職代行サービスを利用しても有給休暇の消化は可能?
前項で触れたように、有給休暇を労働者に取得させるのは雇い主側の義務でもあります。
労働者から有給消化の申し出があった場合原則として雇い主はそれを拒否することはできません。
退職代行サービスを利用して退職した場合でもそれは同じで、有給取得の意思を社員が示せばもちろん使うことができます。
有給消化を希望する場合も、自分で直接会社に申請する必要はありません。
退職代行サービスのスタッフが間に入って、会社側に有給取得の申請を提出してくれます。
有給を使いたい旨を言い出しにくいという問題や、残っている有給休暇を会社が使わせてくれなかったというトラブルも退職代行を使うことで気楽に回避できるのです。
退職を決めた時は、自分にどのくらい有給休暇が残っているのかを確認し、無駄なく消化できるよう準備しておきましょう。
有給はどのくらい残っている?即日退社のために確認しておきたいこと
有給休暇の付与日数を確認しよう
せっかく退職代行サービスを利用して会社を辞めるのであれば、もう出社しなくていいよう即日退社したいものです。
自分の持っている有給休暇日数が、退社日までの日数に足りていればもう会社に行く必要はありません。
有給休暇の付与日数は法律によって決められています。
自分が毎年どれだけ有給休暇を付与されているか、リンク先の表を参照してみてください。
すでに使用した日数を差し引けばおよそ何日有給休暇が残っているか簡単に確認できます。
即日退社したいけれど有給日数が足りない場合は?
退社予定日までの日数に有給休暇が足りない場合ですが、普通の欠勤と同じ扱いで会社側から処理してもらえば即日退社できます。
その旨も、依頼した退職代行業者のスタッフに会社側へ伝えてもらうよう依頼すれば、自分で会社に掛け合う必要はありません。
退職金は退職代行サービスによる退職でも支給される?
次に気になる退職金の支給についてご紹介します。
先ほどご説明したように、退職金は有給休暇とは異なり会社の制度によって決められています。
退職を考えた際は、一度就業規則をしっかりと読み直してみてください。
依頼者が就業規則にのっとった退職金の支給条件を満たしていれば、退職代行サービスを使っていようといなかろうと、問題なく退職金はもらうことが出来ます。
自分が条件に合致していることが確認出来たら、その旨を退職代行のスタッフに会社側へ伝えてもらいましょう。
依頼者側で条件確認をしておくと、退職金の申請はよりスムーズにできるでしょう。
退職金について就業規則に記載がない場合は?
もし、就業規則の中に退職金についての記載がない場合ですが、すぐ諦める必要はありません。
過去に同じような条件で仕事を辞めている人が退職金を貰っているという実績が複数あれば、その情報を元に会社側に退職金の請求ができるケースもあります。
退職金の請求を掛け合う場合、それは交渉に当たりますので、請求行為ができる弁護士が所属あるいは業務執行する退職代行業者や
退職代行サービスを行っている弁護士事務所や行政書士あるいはする業者を選んでください。
有給休暇取得や退職金の支払いを会社側から拒否された場合、退職代行サービスは対応してくれる?
退職代行サービスを利用して会社を辞めても、残った有給休暇の消化や退職金の支給がもらえることをご説明してきました。
しかし、万が一会社側から有給休暇の申請や退職金の支払いについて拒否をされてしまった場合はどうなるのでしょうか?
基本的にはトラブルを回避するためスムーズに有給の取得や退職金の支払いを認めるケースがほとんどではありますが、断固としてそれを認めないという姿勢を取ってくるブラック企業も0ではありません。
また、明らかに有給日数を少なく誤魔化してきたり、条件にあわない退職金を提示してくる可能性もあるでしょう。
※要注意:民間の退職代行業者だと交渉や請求行為はできない?!【非弁行為・弁護士法違反】
上記の場合に会社側に異議を申し立てたり、請求の行為を行うことは非弁行為にあたるため弁護士にしかできず、通常の退職代行サービス(民間の退職代行業者)では対応できないのが現実です。
もし、会社側と有給休暇や退職金のことで揉めるようであれば、弁護士を擁する退職代行サービスや法律事務所による退職代行を申し込む必要があります。
「非弁行為・弁護士法違反」に関する不安や弁護士と民間の退職代行業者どちらに依頼するか迷われている方は以下の記事もお読みください
【非弁行為・弁護士法違反】民間の退職代行サービスは違法?弁護士とどっちに依頼するのが安心・安全?
まとめ:退職代行サービスを使って会社を辞めても有給休暇や退職金は貰える!
以上、この記事では退職代行サービスを利用した場合の有給休暇取得や退職金の支給について解説しました。
基本的には退職代行を仲介しても、有給休暇の消化や退職金は貰えるということがご理解いただけたと思います。
会社を辞める際に時に特に申し出がしにくい2つのポイントですが、退職代行サービスはこの点についても会社側へ希望を伝えてくれますし、弁護士による退職代行や非弁行為も対応してくれる退職代行サービスを利用することできちんと交渉まで行ってくれます。
- まとめ
- 本来、有給休暇も退職金も本来貰えるもので企業側もスムーズに応じる
- ただし、企業側が拒否して、有給や退職金の取得で揉めた場合には、交渉や請求が必要になり、通常の民間退職代行事業者だと業務範囲外(非弁行為・弁護士法違反)
そのような場合には、弁護士や行政書士、あるいは労働組合などの体制のある退職代行サービスへの依頼が必要
「残った有給や退職金が貰えないかも…」という思いから退職代行サービスを利用することに不安を持っていた方や、そういった退職時の不安から仕事を辞めること自体を我慢してしまっているという方も、ぜひ一度退職代行サービスの申し込みを検討してみて下さい。