利用者は年々増加傾向。話題の退職代行とは何なのか?どんなサービス?
目次
最近よく耳にしたり、広告を見るようになった方も多いであろう「退職代行サービス」。
今の仕事を辞めたいけれど言い出しにくい、辞めたい理由を直接会社に言えない…そんな人たちの代わりに、会社に退職の意思を伝えたり、会社との交渉を行ってくれるサービスです。
そんな退職代行サービスはここ数年で利用者が増加し、市場も拡大傾向にあります。
その背景には現代社会における「ブラック企業」と呼ばれる存在や、「パワハラ」「いじめ」と言った問題も大きく関わっています。
今回は、今話題の退職サービスの内容や利用する人が増えている理由、加えて世間の退職代行サービスへの評判についてまとめてみました。
退職を言い出せないあなたの代わりに仕事を辞める手続きを実施【退職代行サービスがやってくれること】
退職代行サービスは、簡単に言うと何か理由があって会社に直接辞めたいことを言えない人に代わって、辞職する意思を会社側に伝えてくれたり、会社との間を仲介してくれるサービスです。
「普通に会社をやめる時の手順」と「退職代行を使って会社を辞める手順」2つを比較してみてみましょう。
一般的な会社や辞める時の退職手順
通常、会社を辞める際には、以下の1-5のようなフローを踏む必要がございます。
会社を辞める!と決めて会社側に伝えてから少なくとも2ヶ月はほど在職が必要で、退職日までにも色々と済まさねばならないことがたくさんあり、
もうすぐにでも辞めたい仕事であっても、その期間は会社や関連した取引先とも付き合わなければならず苦痛が続きます。
- 上司に退職したい意思を伝える(およそ2ヶ月前)
- 退職日を調整して決める
- 残った仕事の引き継ぎをする
- 関連部署や取引先への挨拶
- 貸与品の受け渡し、私物の整理
退職代行を使って会社を辞める時の手順
退職代行サービスを利用した場合、どの程度会社を辞める際の自分の負担が減るかというと
答えは「上記の1〜5まで全て、自分ではやらなくていい」です。
退職する意思を伝えることや、退職日の希望、そして会社に返すものや自分の私物の引き上げなども退職代行サービスが間に入って全て行ってくれます。
引き継ぎや挨拶回りについてはもう対応する必要もありません。
- 退職代行業者への無料相談
- 申し込み
- 業者へ依頼料のお支払
- 業者と依頼者間で詳しい状況確認
- 退職代行業者があなたのお勤め先に電話連絡にて退職の旨をお伝え(あなたは退職代行業務の遂行・完了報告待ち)
- 退職代行業者からの完了報告
このように、退職に際して辛い思いをしたり苦痛な時間を過ごすことなく会社を辞められるようにしてくれるのが退職代行サービスなのです。
また、退職代行サービスの一連の流れや使い方などのフローをより詳細に知りたい方は以下の記事を参照ください。
退職代行サービスの仕組み・流れ・使い方【申し込みから退職完了・利用後の手順を解説】
退職代行業者の実態はどうなっているか【やっていること自体はとても簡単で至ってシンプル】
退職代行業者の存在は2018年の夏頃に炎上し、その存在を世の中に広め始めました。
当初は業者数もそこまで多くなく、EXIT(イグジット)やSARABA(サラバ)という事業者が人気でそこまで多くは存在しませんでした。
しかし、話題性と現代社会のトレンドも相まってか、当時から数ヶ月も立たないうちに数十社の退職代行業者が誕生し、
今となっては弁護士事務所の本格参入もあり、国内で50社以上の退職代行業者あるいはそれらに類似する業務を専門的に行う組織が存在します。
なぜここまで加速的に業者が増えたかというと、退職代行という事業自体がとても手離れ良く、工数もかからないため、事業者としてもとても稼げるビジネスであるからです。
少し想像をふくらませるとおわかりかと思いますが、退職代行業者の業務内容は
あなたに代わって、勤め先の企業に電話で退職の意志を伝える伝言ゲームをやっているだけなのです。
また、日本ではブラック企業や勤務状況や環境がずさんな会社がはびこっていること重なったことでここまで業者数が増えました。
- 退職代行業者がやっていること
- 依頼者から相談を受ける
- 依頼者をヒアリングし必要な情報を整理する
- 入金を待つ
- 入金が確認できたらご依頼者の勤め先に電話して、退職の旨を伝える
- 退職手続きが完了したらご依頼者へ無事完了したことを連絡
- ご依頼者に諸々のアフターフォローややるべき書類の手続きのご案内
退職代行サービス利用者の退職理由のほとんどは会社が原因
直属上司からのパワハラと会社に失望して退職。
毎日イライラして毎日辞めたいと悩んで日々から解放され穏やかな生活を満喫中
次の職場も決まりどんな未来が待っているのか不安と期待で朝目覚めた瞬間から動悸がする
輝く未来にする為に前を向いて出来る事を精一杯やってみよう!
でも無理はしない
— あっこ (@NamiBery) March 20, 2020
会社の都合による理由【社内の状態・環境が悪すぎる】
退職代行サービスを利用した人は、どういった事情を抱えていたのでしょうか。
利用者の声をまとめてみるとわかるのは、退職の理由のほとんどは会社側に原因があるということでした。
サービス利用者の利用理由は、主に以下のようなものです。
- 飲み会が多いが馴染めない上司や同僚からのいじめ・パワハラ
- 退職の意思を示したのに、会社側が受理してくれない
- 社内での人間関係の悪化から出社が困難
- 執拗なセクハラ
- サービス残業が当たり前のブラックすぎる労働環境
- 面接時に説明を受けた内容と入社後の待遇が異なる
- 周りに迷惑がかかることが怖く言い出せない(業務負荷による圧迫・引き継ぎ都合)
- 社内規則的に通常の手順だと数週間から数ヶ月会社に在職が必要ですぐ辞められないのが嫌
長時間に及ぶ拘束時間や、いじめやパワハラといった嫌がらせ、必要以上の罵倒や叱責によって精神的にも身体的にも限界をむかえ、自ら会社に退職を言い出すことができない人が利用することが多いようです。
その他、待遇面への不満や人間関係による会社内の空気に耐えられないといった言い出しにくい理由も挙げられています。
自己都合による理由
中には、会社の人には不満はないばかりに、迷惑をかけてしまうのが怖く言い出せないという理由も見受けられますが、多くは会社側に何かしらの原因があるものです。
- GWや年末年始などの長期休暇あるいは三連休後など突如会社に行きたくなくなった
- 辞めることは言い出せるが退職時の挨拶がだるい、面倒
- 自分の失敗で取引先と気まずくなり、面倒が増えたので全部忘れてまっさらにして他の人に責任を押し付けたい
- 期待されて入ったものの、能力を発揮できず、社内に居づらい
退職代行サービスの市場拡大に関わる現代ならではの時代背景とは
近年になって退職代行サービスという事業が注目され、市場を拡大しているのには時代的な背景が関わってきます。
終身雇用が当たり前、入社したら定年まで同じ会社で働くというのが普通だった時代が終わり、最近は一社に骨を埋めるという考え方が古いと言われるようになりました。
また、厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(平成28年3月卒業者の状況)」のデータによると、新卒3年以内の離職率は32%と3人に1人は4年を待たずに退職・転職をしていることになります。
「どんなに嫌な仕事でも、まず3年は頑張れ」なんていう言葉がありますが、その美学ももはや昔の感覚になってきていることがわかります。
仕事や会社が自分に合わないと感じたら辞めるという風潮が強まり、昔に比べて転職や退職に対するイメージがネガティブなものではなくなってきているのも事実です。
そういった会社や仕事に対する考え方の大きな変化が、退職代行サービスの市場拡大に繋がっていると考えられます。
令和時代は昭和や平成とは異なり、退職代行事業者の後押しも有り、「手軽に辞めて、手軽に転職」というトレンドが出来上がるかもしれません。
退職代行サービスを使うことのメリットとデメリットはどんなものがある?
退職代行サービスを使うメリット
退職代行サービスの市場拡大は時代的背景もありますが、年々利用者が増えているのはもちろんメリットがあるからこそ。
仕事を辞めることを考えている人にとって、「この手間を省きたい!」という部分をカバーしてくれます。
退職代行サービスを利用することのメリットとしてはこんなポイントが挙げられます。
- 会社に連絡や出社をしなくて良い
退職代行サービスが中に入って退職の意思の伝達から諸々の連絡も全て行ってくれるため、利用者から連絡をする必要がありません。また私物の引き上げや会社備品の返却も対応してくれるので嫌な上司や同僚にも2度と顔を合わせずに仕事を辞められます。 - すぐに辞められる
普通だと実際の退社日まで数ヶ月かかってしまいますが、退職代行サービスを使えばもうその日から行く必要はありません。 - 確実に退職できる
退職を上司に渋られたり、長く引き止められるのも大きなストレスですが、退職代行サービスを間に挟むことで会社からごねられることなくすっきりと辞められます。
退職代行サービスを使うデメリット
あくまで可能性レベルの話ですが退職代行サービスを利用したことで失うことやデメリットは以下です。
- 円満退社はできない可能性が高い
- 自分自身の忍耐力の低下、逃げ癖や辞め癖の定着
- その会社で築き上げた人間関係を失う可能性
- 同業界には噂が流れる可能性があるので転職時注意
退職を代行してもらうことに対する世間の反応・評判
会社との関係はさっぱりと終わらせられる退職代行サービス。
しかし、世間はそんなサービスを利用する人にどんなイメージを持っているのでしょうか?
きょう会社に来て見たら、上司から小言をもらうどころか大番狂わせ。
昨日辞めた奴は、退職代行業者が関与。
退職の手続きを進めてくれと業者から電話連絡があり、本人抜きで手続きが進められているという。
何だそれは💢
面倒や迷惑をかけただけで、挨拶もなく辞めるって、それでいいのか?😠— ブリブリ (@buri_buri_2018) February 19, 2020
参考までに退職代行で辞めた社員に対する厳しい意見をツイートしている口コミを掲載致しました。
上記のTwitterからも察してわかるように退職代行を使われた側の企業や同僚の反応は、怒りそのもので退職代行を利用すること自体に理解を得られていない様子です。
上記に限らず、「お金を払ってやってもらうことではない」や「考え方が甘い」といった厳しい意見を持つ人もいます。
しかしブラック企業の存在が認知され、働き方が変わってきた現代において退職代行サービスは生まれるべくして生まれたというポジティブなものとして捉える人も多くなってきているのも事実です。
誰しも一度や二度は仕事で大変な思いをし、「もう辞めたい」と追い詰められたことがあると思います。
そういった感情に対しての世間の反応が、「甘え」「根気がない」といった厳しいものから「会社のために自分を潰してしまう必要はない」という考え方に変化してきているこそ、退職代行サービスという業種が一つの市場として確立されてきているとも言えます。
まとめ:仕事の辞め方も多様化。退職代行サービスの利用は選択肢の一つ!
退職代行サービスの概要やメリット、そして世間からの印象についてご紹介しました。
昔はどんなに言い出しづらくても自ら動くしかなかった退職も、業者にお任せできる時代になりました。
働き方や職業も多様化してきている現代、仕事の辞め方にも選択肢ができたのは自然な流れとも言えます。
ブラック企業による拘束や、社内でのいじめやパワハラといった壮絶な環境の中で身も心もすり減らしていても退職は言い出せない…
そんな状況を耐え続けて体を壊してしまうよりは、退職代行サービスを利用して賢く自分の身を守ることも必要です。
当記事をみて、実際に退職代行を申し込み依頼をしてみたいと感じた方は以下の記事もおすすめです。
退職代行サービスの仕組み・流れ・使い方【申し込みから退職完了・利用後の手順を解説】