LINEは退職の連絡に使ってOK?リスクや注意点も紹介
目次
スマートフォンの普及と主に、今やなくてはならないツールとなったLINE。
総務省が2020年9月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「令和元年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、LINEの普及率は86.9%にも上り、他のSNSに比べてもダントツの利用者数です。
年齢層関係なくその普及率は高く、老若男女全ての人にとって必要とされていることが読み取れます。
LINEは気軽に友人知人と連絡をとるツールとしての利用がメインでしたが、近年は業務連絡や部署のグループチャットなど仕事への利用も増えてきています。
メールに比べて直感的に短文でメッセージを送り合うことができること、既読・未読で相手が読んだかどうかもチェックできることでスピード感のあるコミュニケーションが可能となるのが大きなメリットでしょう。
そんな便利なLINEですが、退職の様な仕事上重要な報告をするために使うことはできるのでしょうか。
退職を考えた時は「直接会うことも、電話で会話することもなく仕事が辞められたら…」と誰しもが一度は思うものですよね。
今回はLINEでの退職連絡の有効性、そしてリスクや注意点などを解説します。
退職の意思表示方法は法律で規定なし!
そもそも、LINEで退職の連絡をして正式に辞めることができるのでしょうか。
LINEで今日で辞めさせてくださいごめんなさいで辞めれるかなあああああ直接とか無理ありすぎるあたしにはって感じ
— ゆり(*・◇・*) (@yuri_2525) October 3, 2017
実は退職をする場合の伝え方には法律上決まりはありません。
民法第627条では退職に関して下記の様に規定されています。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用:e-Gov 民法
労働者が雇用主に退職の意思を示したら、2週間後に雇用契約が終了するという内容です。
ここにはその申し入れの方法については一切書かれていません。
よって、LINEであったとしても、労働者本人の意思であればこの法律は適用されるのです。
これはたとえ会社の就業規則に「1ヶ月前までに書面で通知すること」や「直属の上司と面談で」などの決まりがあったとしても、原則民法が優先されます。
つまり、LINEで退職を申し出ることは有効な手段であると言えます。
LINEで退職連絡をするメリット
LINEでの退職連絡は下記のようなメリットがあります。
- 上司と対面で報告しなくて良い
- 電話で会話もしなくて済む
- 書面のやりとりよりスピーディー
例えば会社内でいじめを受けていたり、パワハラやセクハラの被害にあっているような場合は出社するのも恐怖でしょう。
そしてその主犯が上司であった場合は直接退職の申し出などなかなかできるものではありません。
そんなときにLINEであれば文章で送るだけであり、気軽かつ精神的負担も最小限におさえられます。
書面で通知する方法もありますが、郵送の場合1〜2日到着に時間がかかってしまうことを考えると、LINEであれば送ってすぐに相手に見てもらうことができてスピーディーです。
LINEで退職の連絡をする場合に起こりうるリスクは?
LINEで退職を上司に申し出ることは可能ですが、やはりリスクもあります。
LINEだけで辞めようとしたときにどの様なリスクが起こりうるかご紹介しましょう。
非常識・マナー違反だと思われる
一般的に退職は上司なり人事なりに直接申し出るものと認識されており、やはりそれ以外の方法は「常識的に考えて良くない」と思われています。
特に近年普及したLINEはSNSであり、友人や家族でフランクなコミュニケーションをとるためのツールとしてのイメージが強いため、退職の様な仕事上でも重要な報告に利用するのは抵抗を感じる人が多いです。
急に仕事辞めますってLINEで言う最近の子どうなん?決まってるシフトくらい責任もって出るべき。退職する時は1ヶ月前に言うルール、LINEで退職したいとかの連絡は禁止なんだけどな…てか常識的にLINEでとか無いよな…非常識にも程があるわ。
— あや@ふぁんふぁん (@ayapyonsob) November 7, 2020
退職の意思を上司にLINEで送るのは流石に非常識だろ
— まきろん (@maxi_typeR) August 28, 2019
LINEで退職届けはさすがに非常識だと思う。
退職の意向を伝えるだけにして改めて書類提出だったらいいんじゃない?#梅ズバ— 神夜🦋☃️🐻いまだDT (@donald_ran_ran_) August 28, 2019
たとえLINEのやりとりだけで辞められても「ありえない」と著しく印象を悪くしてしまうということは覚悟しておかねばなりません。
証拠として効力が低い
LINEは気楽に使えるツールであるため、トークルームのメッセージは簡単に消去することも可能です。
上司がトークルームごとメッセージを消去してしまい「見ていない」と言い張られたり、自ら誤操作で消してしまうという危険があります。
そしてデータとしてはスマートフォンの中だけになってしまうので、書面や社内のメッセージツールなどに比べると証拠性が弱いのがネックです。
会話のスクリーンショットを残しておくことが重要ですが、そのデータもスマートフォンの中だけでなく、パソコンなどの他の媒体にも転送して保存しておきましょう。
LINEで退職の報告を送る場合、こんなことに気をつけよう!
リスクを踏まえた上で「やはりLINEで連絡しよう」という意思が固まったのであれば、いよいよ実行に向けて準備を進めましょう。
まずはLINEを連絡ツールとする場合に注意が必要な点を頭に入れておいてください。
普段使っている時のようなフランクさは出さない
LINEはプライベートで友人らと利用するコミュニケーションツールを想定して作られているため、デザインもポップで親しみやすいものになっています。
会話も吹き出し形式でチャットのような気楽さであり、うっかり普段の使い方でフランクに退職連絡をしないようにしましょう。
絵文字やスタンプなどはもってのほかです。
本当は直接対面で伝えるべきことであるという意識を持ち、正式な書面を送るつもりでメッセージを送信してください。
誤字脱字、作成途中の誤送信などに注意
退職届等の書面を作る場合はおかしなところがないかしっかりチェックしてから送付できますが、LINEの場合はメッセージ入力欄に打ち込んでいくだけです。
長文になると最初の方の文章が見えなくなってしまい、送ってみたらひどい誤字脱字があった…という事態が起きる可能性が書類やメールに比べて格段に高く、注意しなければなりません。
また、送信ボタンをうっかり途中で押してしまうという誤操作も良く起こります。
普段の友人との会話だったら「間違えて送っちゃった」ですみますが、今は退職連絡という大事な場面です。
誤っておかしな文章を送ってしまわないように必ず何度かチェックを行いましょう。
心配であれば、先にメモ帳アプリなどで文章を作成し、OKだと思ったらLINEのメッセージ欄にコピペするという方法を取るとミスが少なく安心です。
都度スクリーンショットを残して証拠を残す
LINEが証拠性が低いツールであると前述しましたが、その分できるだけ証拠は数を残しておくことをおすすめします。
- メッセージを送った直後
- 既読がついた時
- 返信があった時
- こちらから再度何かメッセージを送った時
画面に変化があったタイミングで都度スクリーンショットを残してデータとしてまとめておきましょう。
もし会社側と「見ていない」「知らない」と言ったことでトラブルになった時は解決のために証拠が重要となってきます。
LINEでの退職はこう伝える!例文をご紹介
注意点を良く理解したら、実際にLINEで送る退職連絡の文章を考えていきましょう。
退職連絡に必要な情報は下記の通りです。
- 退職するという意思表示
- 退職日
- 退職理由
- LINEでの連絡になった理由とお詫び
こちらの内容を組み込みつつ、丁寧な言葉遣いで文章を作成します。
例文をご紹介しますので、文章を書くのが苦手な方はこちらを参考にしつつ自分なりの言葉も加えて完成させてみてください。
急なご連絡で大変恐縮なのですが、一身上の都合で**月**日をもちまして退職させていただきます。
本来であれば直接お会いしてお話しすべきことですが、このような形でのご報告となり申し訳ございません。
体調面の問題でこれ以上出社することが困難と判断したため、LINEでご連絡とさせていただきました。
今まで大変お世話になりました。
上司からのメッセージ、こんな場合はどう返信する?
「退職届を提出して」
LINEの文だけでは不十分だと、退職届の提出を求められることがあります。
その場合は郵送する旨を伝えましょう。
「会社への返却物はどうするの?」「会社においてある私物は?」
会社に返却しなければならないものがまだ手元にある場合は、宅配便などで送りましょう。
また、会社におきっぱなしになっている私物に関しては、会社側では勝手に処分できないので着払いで自宅に送ってもらうようにお願いします。
お手数をおかけしますが、着払いにて自宅に送付いただけないでしょうか。
ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。
「退職の意思はわかったので、一度出社して話し合おう」
LINEでは詳細がわからないので、対面での意思確認を求められる可能性ももちろんあります。
もし対応ができる状態なのであれば要望に応えて出社する方が望ましいですが、いじめやパワハラなどで精神的に会社の人と顔を合わせることが難しい場合は丁重にお断りを入れましょう。
心身の健康上難しいということを正直に伝えれば、上司も理解してくれるかもしれません。
大変申し訳ないのですが、こちらのLINEにて退職を了承いただけますと幸いです。
LINEの退職連絡を認めてもらえない場合
LINEでの退職の申し出は法律上は問題ないのですが、やはりマナーや一般常識的に考えると「ありえない」と考える人が多いでしょう。
どんなに丁寧に文章を作って送ったとしても、正式に退職を認められる方法ではないと拒否をされてしまう可能性ももちろんあります。
そんな場合は退職届を内容証明で会社へ送り、強制的に雇用契約終了へ持ち込むという力技を使うこともできます。
書面で通知すれば、会社側も退職意思の明示と認めて民法の規定通り2週間で退職させるしかありません。
トラブルになりそうなら退職代行を使うという手段も
LINEはあくまでプライベートで利用するSNSとしての立ち位置が強く、基本的には仕事関連の連絡に使うべきものではありません。
よってLINEを使うことで上司の怒りをかってしまい、話がこじれることも考えられます。
LINEの退職連絡で揉めてしまったり、そもそもLINEでの連絡でトラブルになることを避けたい場合は退職代行サービスを利用するという手もあります。
退職代行を使えば、業者が会社との間に入って退職意思の申し出からその後のやりとりに至るまで全て伝達してくれます。
もちろん、出社することも会社と連絡を取り合うこともありません。
そして第三者である業者が介入するのはとても効果的で、会社もあっさり退職を認めることがほとんどです。
退職代行費用がかかってしまうのはネックですが、煩わしい退職関連のことを全てやってもらえることを考えれば決して高すぎる出費ではないでしょう。
退職代行の利用に興味がある、検討してみたいという人は退職代行についてまとめた記事がありますのでぜひ一度目を通してみてください。
退職代行サービスの仕組み・流れ・使い方【申し込みから退職完了・利用後の手順を解説】
まとめ:LINEでの退職連絡は有効!ただしリスクも多いので注意しよう
今回はLINEで退職連絡をすることの有効性やリスクについて詳しく解説しました。
気楽に利用できるコミュニケーションツールとして広く普及しているLINEは、今や性別や年齢関係なくほとんどの人が使っているので上司とLINEでつながっている人も少なくないでしょう。
LINEで退職を伝えることは法律的には問題ありませんが、あくまで仕事の連絡には向かないツールです。
トラブルになるリスクはありますので、退職連絡に使う場合は十分にその点を理解してからにしましょう。
夫氏会社の社員が、lineで
退職の連絡をしてきたそうです。
時代のギャップを感じますが、
後腐れなくていいかも
しれませんね💦
離職票もlineで送れたら
いいのになぁ❗️— かよ子@建設業事務のイノベーション (@kayocoblog) August 20, 2020
ただ、若い世代を中心にLINEで退職や欠勤の連絡を行う人は増えてきているようです。
近い将来、LINEが仕事の連絡として「ありえない」というイメージは薄れていくかもしれません。
しかし、退職は基本は対面で申し出るものというのが常識的な考えですので、止むを得ない場合の手段として慎重に利用するようにしましょう。